7月30日(土)、砺波市内外から27人が参加して、砺波散村地域研究所ととなみ散居村ミュージアム共催の「庄川流域見学会」が行われた。この見学会は、砺波平野の母なる川である庄川流域に展開する人々の暮らしや歴史、自然の様子などを見学することを通して、自分たちの暮らす郷土に対する理解を深めようと実施されたものである。今年は、祖山集落や田向集落、そして菅沼集落のような集落の様子だけでなく、実際に庄川の源流付近を歩きながら、庄川の端を発する山間の様子を肌で感じてくることもプランに盛り込まれた。
散村地域研究所から新藤正夫所長をはじめ佐伯安一所員、堀越勝所員なども解説者として随行し、各見学場所だけでなく車中でも道すがら解説を行った。新潟県や福島県に洪水警報が発令される中、郷土資料館を雨の中の出発となったが、幸いなことに各見学の際には雨がやみ、ほとんど傘はいらなかった。
祖山集落で「大槻伝蔵」の碑に関して話題となった「籠の渡し」の籠の実物や渡しの様子を、後の見学地の菅沼で実際に見たときには、参加者の一部から感嘆の声が上がっていた。また、巨大なロックフィルダムである御母衣ダムの上に立ち、なぜコンクリート式ではなくロックフィル式としたのかについて、地震発生の原因となる活断層と関連付けた説明が行われると参加者は盛んにうなづいていた。
庄川の源流域を訪ねるという大変な移動距離を伴う見学会ではあったが、健康に異常を訴える人が一人もなく、終始熱心に見学したり説明を聞いたりしておられたのが印象的であった。参加者の一人である杉森富美吉さん(85歳砺波市庄川町在住)は、県内の歴史地理分野でも著名な功績のある新藤正夫所長や佐伯安一所員の熱心な解説を聞きながらの見学が自分にとって大変すばらしい経験となったと感想を述べていた。