去る11月19日(土曜日)、となみ散居村ミュージアムにおいて第58回砺波散村地域研究所合同例会が開催され、一般市民をはじめ大勢の参加者が郷土にかかわりの深い研究発表に熱心に耳を傾けました。
今回の目玉は、砺波散村地域研究所の所員である佐伯安一氏と高原徹氏による庄下地区や種田地区の村の成立にまつわる発表でした。佐伯氏は、美濃の豪族であった根尾家が有為転変の末現在の砺波市庄下に根を下ろし、村や地域の発展に数々の功績を挙げながら今日の礎を築いてきたことについて、さまざまな古文書史料から解析した結果を発表されました。また、高原氏は、後に合体して種田村を作ることになる古上野村などの小村が、旧千保川と旧中村川、旧野尻川の川跡に泥土が堆積している微高地に切り拓かれていった様子について発表されました。度重なる洪水との戦いの歴史でもある種田村の成立は、一つのドラマを見ているようにも思えました。
今回の例会の講演は、富山県出身の早稲田大学教育・総合科学学術院教授である宮口としみち氏にお願いしました。「我が国の農村の本質的価値と砺波平野」と題して約1時間半にわたってお話をしていただきました。つい最近、調査してこられたヨーロッパの国々の農村と対比しながら、日本の農村がいかに土地の肥沃さに守られながら土地とともに生活してきたか、また、そういう中で日本特有の美しい農村風景を創り上げてきたかなどについて語られた講演は、大変分かりやすく聴衆を引き付けるものでした。砺波平野の美しさを守るためには、農村部だけでなく市街地の活性化も含めた総合的な施策が必要であるとのお話は、今後砺波市の美しい景観を守って行く上で参考になりそうです。(砺波散村地域研究所 杉森)