富山生まれのチューリップ 本文へジャンプ

長い年月がかかる品種改良

県園芸研究所(砺波市五郎丸) 富山県内で生産されるチューリップには数多くの品種があり、毎年、新しい仲間が加わっています。昭和11年、現在の砺波チューリップ公園(砺波市花園町)近くに設置された県立農事試験場出町園芸分場(現・県農林水産総合技術センター園芸研究所=砺波市五郎丸に移転)が、今も品種改良に取り組んでおり、次々と新しい品種が生まれています。

 品種改良の狙いは、「美しい花を咲かせ」「球根の収量が多く」「さらに病気にも強い」品種を作るためですが、球根で育つチューリップは、種子から育つ普通の植物に比べ、改良に大変な時間がかかります。

 その方法は、多くの球根から変わった性質を持つものをより分ける「系統分離」、突然変異を起こしたものを見つける「芽条変異」、そして、花粉を交配して種から育てる「交雑育種」の3つ。球根なのに「なぜ、種から…」と思われるかもしれませんが、花首の「さく」の中にはちゃんと300粒ほどの種が入っています。これを育てていくといえば簡単ですが、花が咲く球根になるまで5~6年。さらに一定の数まで増やすのに15年ほど。1品種が生まれるまで、なんと20年ほどもかかります。

 水野豊造の発案で栽培を始めた砺波のチューリップ農家は、第二次世界大戦中、敵性植物として栽培を禁止されながら、密かに種球根を守り続けました。そして、それを受け継いだ研究者たちが、気の遠くなるような年月をかけて、見る人たちの心に揺り動かす花々を作ってきました。

 美しい花の陰に隠された先人たちの労苦にも思いをはせていただきたいものです。

水野豊造翁 

富山生まれの品種39種類を白・黄・紫系赤・桃・橙系に分けて紹介しています。

品種の詳細は富山県花卉球根農業協同組合の協力で作成しました。球根は通信販売でもお求めいただけます。

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