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砺波の石仏

 真宗王国の砺波には、あちこちに石仏が祀られています。日本石仏協会理事の尾田武雄さん(砺波市太田)に よると、砺波市内に1350体、南砺市内に2900体もあるとか。江戸末から明治にかけて村々の若衆によって建てられたといわれ、今も地元の人た ちによって大切に守られています。地蔵盆などの行事が行われ、お堂には花が絶えません。両市とも、ボランティアの手によって調査が進めら れています。
 尾田さんがインターネット市民塾(平成16年)で紹介した砺波市庄川町青島・金屋地区の石仏を掲載します。(文章は尾田さん)

 

恵水園のお地蔵さま

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 恵水園(通称一本橋)のお地蔵さま(高さ74センチ×幅47センチ)は、金屋石で造られています。
 この石 仏の台座には、「文化十四年 右高岡 法界万霊左井波」と彫られていますが、お地蔵さまは、街の角(道路が交差している所)に建てら れ、通行する人々の安全を守って下さっています。
 砺波地方の石仏は、江戸時代の終わりから明治にかけて多く建立されました。
 この石仏さまは、金屋の庄兵衛さんという石工さんの作と伝えられています。非常に、まじめで、 熱心な人であったそうです。各地で腕を磨いた後、庄川に戻り、一意専心で千体の仏さまを彫られたそうです。
 この地方は、真宗王国といわれるほど、浄土真宗に代表される人々の信仰心が厚く、石仏も多くあります。いつも花が供えられ、お参りする人が絶えないそうです。日本の他の地方では、野さらしの仏様も多いのですが、ここではお堂に安置され、 いつもきれいに掃除され、また、寒い季節にはお堂に菰(こも)がかけられるなど、人々が仏さまを大切に守っておられる様子が伺えます。

 

甚左橋の石仏

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 如来さまです。
 よだれかけ(ミニ知識参照)をかけられたり、帽子を被ったりしておられます。ここでも、地域の人々が交替で石仏さんを大切 に守っておられる様子がよくわかります。耳病平癒を願って、“願掛け石"(ミニ知識参照)がお堂にかけられているほか、やはり花がたむけられています。

 

 

〔石仏についてのミニ知識〕

頭の形による仏さまの見分け方

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 お地蔵さまは、頭がつるりと丸いのが特徴です。観音さまは、如意輪や馬頭などの被りもの(各々意味があります)を頭に飾っておられます。また、如来さまのお頭は、奈良の大仏さまの如く、シンプル且つ、ごつごつ(パンチパーマですね)です。明王 さまは、不動さんなどこわーい顔です(ホントは優しい心がいっぱい)。
 なお、仏さまでも最も位が高いのは如来様です。お地蔵さまは修行中の仏さまです。
 また、聖徳太子2歳の時の地蔵さま(赤い袴が特徴)が砺波地方だけに見られます。これは、この地方独特の太子信仰の現れです。

 

台 座
 お地蔵さまの台座は、江戸時代までのものは、単純な形態でしたが、明治時代以降、筋が入るな ど、彫刻が複雑になってきました。

 

お堂紹介
 小さいながらも宮大工の手になる欄間のある建物であり、虎や龍などの彫刻が施されるなど、幕末の人々が思いをこめて建立したことが伺われます。
お地蔵様に、"よだれかけ"を掛けるのは、あの世に逝ってしまった我が子の成仏(救済)を祈るためなのです。

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 願掛け石(お堂にかけられた穴のあいた石)がお堂に掛けられています。これは、病気(この場合は、耳の病)平癒の願をかけたい人が、庄 川などで石を探し、夜の間にお堂に供えたものです。

 

 

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